■うつ病を正しく理解するために


薬の効果と意義

抗うつ薬の継続服用は再発を抑えます。うつ症状が消失した後も抗うつ薬を継続して1年間服用すると、再発率が低下します。 これは統計学的にも有意な差がありました。

薬はどれだけ飲めばいいのか

再発を防ぐためには、十分な量のお薬を継続して服用することが必要です。
症状の消失後にお薬を半量に減らして治療を続けると、お薬の量を減らさない場合と比較して再発する率が高くなります。
また、治療開始2週間後までに十分な量の抗うつ薬を服用しないと、うつ病が長期化することも報告されています。

治療期間はいつまでか

うつ病の症状が消失した後、少なくとも6カ月は抗うつ薬による治療を続けるべきです。
うつ病の再発リスクが高い方では、さらに2年間の治療が必要といわれています(維持療法)。
以前うつ病にかかったことがある方や重症のうつ症状がある方など、再発の可能性が高い方を対象とした多くの研究報告がありますが、 目安としてさらに1年ないし2年程度は十分な量のお薬を継続して服用すべきと報告しています。


■うつ病の再発を防ぐために

うつ病は再発しやすい病気です。 うつ病は抗うつ薬による治療などが十分に行われると、多くの場合は数週間で自覚症状や他覚所見が消失します。
ただし、うつ病は「風邪」のように繰り返しかかりやすい病気といわれています。症状がいったん消失しても再発してしまうことがあるのです。
ある報告では、うつ病を1回発症した後の再発率は50~60%、2回発症した後では70%、3回発症した後では90%とされています。
再発防止には継続的な治療が必要です。このようにうつ病は再発する傾向があるので、治療によって症状が一時的に落ち着いた後、再発を抑えるための治療が必要です。
WHO(世界保健機関)やAPA(アメリカ精神医学会)といった世界的な機関や学会も、再発防止のための治療が必要であるという見解を発表しています。

●症状のぶり返し(再燃)

症状が完全に消失する前や、消失後最初の数力月の間にうつ状態に戻ってしまうこと。

●症状の再発

完全に回復(うつ症状が完全に消失して6力月以上を経た状璧)した後、うつ状態に戻ってしまうこと。
*「ぶり返し(再燃)」と「再発」の判別は臨床上難しいため、「再発」と一括して表記します。
うつ病が再発しないように続ける治療を「持続療法」や「維持療法」といいます。

それだけ再発しやすいうつ病ですが、お薬をきちんと飲み続けることにより再発予防が可能であることが確認されています。
再発を防ぐためには、調子がよい(悪い)からといって勝手にお薬を減らしたりやめたりせず、医師の指示に従ってお薬を服用することが大切なのです。
医師は再発の危険性を常に考慮していますので、治療中の症状やお薬のことなどで心配事があれば、自分で決めるのではなく、まずは医師に相談しましょう。


急性期治療(服用初期~12週間)

薬の効果が現れるまでに1~2週間ほどかかります。服用始めに出る副作用(主に吐き気、胃のもたれ、眠気)は、しばらく服用を続けると自然に消滅する場合もありますが、勝手に服用を中断せず、医師に相談してください。
必要に応じて消化器系薬を併用することがあります。
また、不安や不眠が強い場合には、抗不安剤を短い期間併用することがあります。
効果が十分に現れ、副作用ができるだけ出ないようにするために、何段階に分けて薬を増やしていきます。
急性期は、のんびり休息しながらしっかり服用するようにしましょう。

継続療法(4~6ヶ月以上)

この時期は、薬による見かけの改善が現れる時期です。 急性期治療時の有効な投薬量を減らさず、そのまま継続することが大切です。
うつ病は良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、ゆっくりと回復していきます。 ゆったりとした気分で、あせらずに治療を続けてください。
その後症状が安定したら、医師の指示に従って薬を減らしていきます。

再発予防療法(1~2年以上)

過去に3回以上の大うつ病エピソードや、過去のエピソードが1年以内、 不安障害の合併などの経験があり、うつ再発の可能性が高い場合には、そのままの有効投与量で長期治療が必要です。
再発予防療法は、過労を避け、じっくり時間をかけて継続する調整期です。