■うつ病の治療について


■治療法について

うつ状態では、脳が疲れ、エネルギーが著しく低下した状態になっています。
まずは十分な睡眠をとり、脳や体の負担を軽減することが大切です。
もともと、真面目で几帳面、仕事熱心で責任感の強いタイプの方がうつ病になりやすい傾向にあるため、休養をとることが簡単ではありません。
しかし、脳が疲れているにもかかわらず休養を取らないでいると、さらに脳が疲弊し、症状が悪化するのは目に見えています。
いま仕事を持っている人には、積極的に休養・休職をすすめます。
どうしても仕事を休めないような場合は、仕事量や就業時間を削減して負担を軽くするよう考えます。
また、主婦の場合には他の家族に家事を分担してもらうようすすめ、まずは心身の負担を減らすことが大切です。
並行して、薬による治療も行います。
主に抗うつ薬が中心となります。抗うつ薬は、脳の中のセロトニンやノルアドレナリンという物質のはたらきを高めて、 抑うつ気分、不安や緊張、焦燥感を取り除くというような効果を現します。
さまざまなタイプのお薬があるので、一人ひとりの症状にあった薬を使います。
そして、服薬を始めてすぐに効果が現れるわけではなく、まずは1週間から3週間の期間が必要です。
通常であれば治療を始めてから2カ月から半年くらいである程度よくなりますが、その後も服薬を続けることが必要です。
治ったと思って服薬をやめてしまうと、症状が再発してしまい慢性化する恐れもあります。
また、人によっては心理療法や精神療法も有効です。
医師や心理士とよく相談し、自分にあった薬と治療法を見つけることが大切です。


SSRIの作用の仕組みをアニメーションで解説しています脳内の神経伝達物質と、SSRIの作用の仕組みをアニメーションで解説しています


[上記の治療薬を使用した例]

うつ病の治療手順

うつ病の症状は、治療中に一進一退を繰り返しながら回復してゆきます。そんなときに焦ったり、 諦めたりしてはいけません。気持ちにゆとりを持って、自然に回復するのを待つ くらいの心境になることが大切です。

■うつ病は治療が可能な病気です

うつ病は必ず治る病気です。病気を悲観せずに、適切な治療を受けましょう。
問題を1人で抱え込まずに、周囲の人とコミュニケーションを取ることも大切なことです。
またご家族の方のバックアップも重要です。病気に対する理解とともに、温かく見守りましょう。
最近では「うつ病の人に『頑張って』と言ってはいけない」などと、漠然とした認知は少しずつ広まっていますが、 具体的に周囲が心掛けるには以下のようなことになります。

もし自分の家族や友人がうつ病になってしまったら

周囲の人々がやるべきことは「病気の理解」であると言えます。
他の怪我や病気のように目には見えない苦しみを持っているとしっかり理解しましょう。
“頑張りたくても頑張れない”うつ病患者さんにとって、励ましの言葉や、 「怠けている」といった叱咤は逆効果です。励ましや叱咤を「自分が悪いのだ」と悲観的に受け止めてしまいます。
病気であることが理解できないと、性格のせいだと叱ったり、強く励ますなど、やってはいけないことをしてしまいます。

「なぜ病気になったのか」と原因を探してしまいがちですが、実際には様々な原因が複雑に絡み合っているので、 特定できないことがほとんどです。
まずは原因の追及よりも、患者さんの気持ちを楽にしてあげるにはどうしたらいいかを考え、
本人の「治りたい・治したい」気持ちを尊重し、見守ってあげましょう。

日常生活において、どんなに小さいことでも考えや決断を求めることはなるべく避けましょう。
「仕事を辞めるかどうか」というような、重要な決定は先のばしにさせるとよいでしょう。
また、家事などの日常生活上の負担を減らせるように協力しましょう。


うつ病は脳に原因があるのですから、脳を休ませることが必要です。無理をせず休みを取ることが一番です。
気分転換だからと外出や運動を無理にすすめず、とにかくゆっくり休ませましょう。
本人が望んでいないのに、気晴らしのために旅行に誘ったりすることは、かえって患者さん本人にとっては負担になるかもしれません。


残念ながら休息だけではうつ病が治ることはなかなかありません。医者にかかりきちんと治療すれば、大部分が2~3週間で効果が見えてきます。
周りが不調に気づいても、本人が病院に行きたがらないケースもよくあります。こんなときは、ご家族が代わりに受診されるのも一つの方法です。
今一体どんな状態で、どういった症状が出ているのかを医師に伝え、そして、医師から聞いたことを本人に伝えます。
その際、治る病気であること、治療が必要であること、病院内の様子などを伝えると、 不安な気持ちを少しでもやわらげることができ、治療に向かうことが出来ます。


うつ病はその日すぐに治るという病気ではありません。
治療することに根気をもって取り組みましょう。
自己判断で薬の服用をやめると回復を遅らせてしまうため、きちんと服用できるよう配慮してあげましょう。
病気を理解していない周囲の人が、「精神科の薬をそんなに長く飲んで大丈夫?」
というようなことを不用意に患者さんに言ってしまうと、患者さんは不安に思って服薬をやめてしまうことがあります。