人格障害について [人格障害とはどんなもの?治療法は?]



うつ病は決して珍しい病気ではなく、誰でもかかりうる病気です。

■人格障害の定義

人格障害とはいったいどのようなものでしょうか?現在、DMS(アメリカ精神医学界の診断基準)では、 青年期または少年期早期から、自分や他人に対する考え方、出来事の解釈の歪みがあり、また 激しい感情の動きや、感情をコントロールできない等の不安定さの為、対人関係をうまく保つことが出来なかったり、 その為に社会生活に支障をきたす状態を人格障害と呼んでいます。
つまり、性格(人格)の極端な歪みによって社会的、職業的な支障をきたし、また他の精神疾患では説明が つかない場合、人格障害という分類に当てはまると言えます。

■人格障害の分類

人格障害は大きく以下の3つの分類に分けられています。

A郡人格障害・・・妄想性人格障害、分裂病質人格障害、分裂病型人格障害
このグループは遺伝的に分裂病気質を持っている事が多いです。妄想を持ったり、奇妙で風変わりな傾向があります。
B郡人格障害・・・反社会性人格障害、境界性人格障害、演技性人格障害、自己愛性人格障害
このグループは感情の混乱が激しく、大変気まぐれで演技的です。周りに迷惑をかけたり、巻き込んだりする ケースが多いです。
C郡人格障害・・・回避性人格障害、依存性人格障害、強迫性人格障害、特定不能の人格障害
不安や恐怖心がとても強いグループです。周りに対する評価や、自分の完璧性を気にします。


■特に多く見られるもの

[ 境界性人格障害 ]
対人関係を保つことが難しかったり、感情が不安定で、自己評価が低いなどの特徴があります。

・人に見捨てられることを避けようとする為に、大変な努力をする。
・対人関係においての評価がとても不安定で、理想化とこき下ろしが激しい。
・リストカットなどの自傷行為を繰り返したり、過食や拒食を繰り返す、また自殺のそぶりをしたりして脅かす。
・数時間しか気分が安定せず、極めて気分が不安定である。
・常に空虚感がある。

・ささいな事で激しく怒ったり、感情のコントロールが出来ない。
・一過性のストレスによる妄想にとらわれたり、重篤な解離性症状が現われる。

上記のような症状を持っている事が多いです。このタイプは特に若い女性に多くみられます。
感情の浮き沈みが激しく、多くはうつ症状が合併しているため、うつ病ではないかと心療内科を受診される場合も多いですが、 実際には境界性人格障害だというケースも多いです。
詳細はこちらのページもご参照下さい。

[ 自己愛性人格障害 (ナルシスト)]
女性に多いのが「境界性人格障害」なのに対して、男性に多いと言われているのがこの「自己愛性人格障害」です。

・自分の重要性は大変大きなものであると考えている。
・限りない成功、権力や才能といったものの空想にとらわれている。
・自分が特別な人間であるため、地位の高い人にしか自分は理解されないと思っている。
・過剰な賞賛を求める。
・自分だけに特別な計らい、特権があると思っている。
・自分自身の目的の達成の為なら、他人を利用する。
・他人に対する共感の欠如。
・他人に嫉妬する。
・尊大で傲慢な態度や行動をとる。

上記のような症状を持っている事が多いです。自分は特別な人間だという意識が高く、周りに賞賛されたい という欲求を持っています。社会の中ではなかなか協調できないため、ひきこもりがちになります。
■なぜこのような障害が起こるのでしょうか

人格障害が起こる原因とはなんでしょうか?
本人の生まれ持った気質などに加え、社会環境の変化や、生育環境が大きく関係していると思われます。 特に多いのは「親子関係のゆがみ」だと言われています。成長過程においての、親からの愛情の欠如や、 親に本当の自分を出せないような状況にあったり、親の過度の期待や理想の押しつけが原因であるとも言われています。 誰しもあるような反抗期がなかったり、子供時代は大人しく従順な良い子である場合も多いです。
また生物学的には染色体や神経系の障害が原因であるという説もあります。

また、自立の欠如や価値の喪失など、社会背景が現代では大きく変わったということも関係しているのではないでしょうか。 その日暮らしの考え方や、自我の消失、これらは、現在では24時間明るい街中である為、夜という孤独な時間が減少してしまい、 自己と向き合う事が少なくなってしまっている、という事もいえるのでしないでしょうか。
様々なことについて考えるということが、自己を成長させる要因の1つとも言えるでしょうから、現代では、 そういった観念が薄れつつあること、またそれでも問題ないという安定した社会背景も要因であるかもしれません。

■治療法について

人格とは、生まれ育った環境や長年の積み重ねによって形成されているものです。 それを変えることは大変困難なことです。社会において、何かしら困難さを感じており、 うまく適応出来ないと悩んでいるのであれば、それを改善するために、薬物療法や精神療法に取り組む意味が ありますが、自分の症状に自覚がなく、不自由を感じていないのであれば、自ら治療を受けることはないでしょう。 こういう場合は、周りが振り回されることが多いのです。

治療に関しては、医療の範囲では主に薬物療法となります。気分の浮き沈みを調整したり、ストレスによるダメージなどを 和らげるように対処していきます。
例えば、境界性人格障害では、うつ症状を併発している場合が多いので、実際にうつ状態を改善する治療をしていきます。 そのことにより、気分の変調を下支えすることが出来ます。
その他の症状の場合でも、それぞれに合わせて症状を緩和していくように、安定剤や鎮静剤を用いることがあります。

当院では基本的には薬物療法が中心です。 主に「エヴィリファイ」と抗うつ薬とを併用して治療を行っています。 カウンセリングによる長時間の精神療法は、当院では健康保険適応外です。



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